2023年 年頭所感
2023-02-06
大塚雅之 NPO給排水設備研究会会長理事
給排水設備研究会創立40周年、「水の未来」に向けて、飛躍の一年
大塚雅之 NPO給排水設備研究会会長理事
会員の皆様、新年、明けましておめでとうございます。ロシアのウクライナへの侵攻、新型コロナウイルス感染「第8波」の最中、昨年の暮れにウクライナ人道支援活動を行っている歌手・バンドゥーラ奏者のナターシャ・ジグーさんのチャリテーコンサートを鑑賞しました。美しく透明な歌声と哀愁を帯びたバンドゥーラの可憐な響きに魅了されました。新年は世界の平和を願うとともに、今年こそ感染拡大がおさまり、生活が回復に向かい、健やかな良い年になることを祈念しています。
さて、給排水設備研究会は、今年、創立40周年を迎えます。記念誌で歴史を振り返りますと20周年は「水とあゆむ」、30周年は「水の時代」、そして40周年を迎える今年、発刊する記念誌は、過去から現在、そして未来に続く水の営みを創造する「水の未来」をテーマに掲げました。今年の活動テーマもそれに因んで「水の未来」について考えたいと思います。
創立40周年の記念行事について、既に理事会傘下に事業記念式典講演会委員会(嶌田成二委員長)、出版記念誌委員会(小瀬博之委員長)を設置し、若手メンバーを中心に企画案の検討を開始しています。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、業界でも様々な取り組みが行われていますが、ZEB、ZEHの推進一色の対応ではなく、それらに加えて何か新しい評価軸と努力目標が求められているように思えます。給排水衛生設備分野においても、水の収支を建物単体による個別循環から敷地内での地区循環へ、そして都市へ拡張させ広域循環の中で考える時代へとシフトしてきています。水の未来に向けてより革新的な取り組みが求められます。広い視野と高い視座を持って、来るべき記念式典講演会の講演テーマや行事の内容も考えています。また、コロナを契機に定着した対面とオンラインを併用したハイブリッド方式での開催により広く参加者も募り、新たな情報発信に繋げることも40周年を契機に推進してゆきたいと思います。
記念会誌については前述の趣旨のとおり、創設30周年以降の過去の10年を振り返り、そして現在を認識し、10年後の未来を展望した企画となるように検討を進めています。肩に力の入らない読みやすい会誌感覚での執筆作業も進めて頂きたいと思います。また、過去の記念誌でもご執筆頂いた懐かしい方々にも、少しご登場頂くページがあるかもしれません。事業記念式典講演委員会とともに、記念誌委員会も次世代、すなわち次の10年を牽引してゆくメンバーを集めて新春から本格的に作業にかかりますので、皆様もご協力のほど宜しくお願いします。そんな企画を議論しつつ思うことは、年4回刊行される研究会誌の中には極めて価値ある優秀な論説・報文があることです。これを機会に発掘し、積極的に表彰してゆくことも会誌の充実と本会の活性化に繋がることと考えています。
また、新しい試みとして全国の給排水設備ネットワークを構築したいと思います。現在も理事会等の会議もハイブリット方式で実施していますが、40周年を契機に全国各地の教育拠点・会員を結んだ給排水設備研究のネットワークを構築することも実施してゆく予定です。各地域の情報も提供して頂き、持ち回りで主催者となってシンポジウムを開催することも大変有意義な企画になると思います。さらに、国際化という視点からはアジア諸国との技術交流も大切であり、アジア建築設備推進委員会が活動を継続していますので、今まで中断していたアジア国際シンポジウムなどもオンライン方式を取り入れ再開し、リアルタイムで学術・技術の交流の機会を持つことも可能と考えています。
卯年の卯は春の訪れを感ずるという意味であり、卯の字が門を開いている様子を連想させることから冬の門が開き、外へ飛び出るという解釈があるようです。40周年の記念となる今年。水の未来に向けて今までの概念を打ち破り、新しい発想の生まれる一年としたいものです。会員の皆様にとっても新たなスタートを切れる一年となることを祈念します。どうぞよろしくお願いします。