給排水設備研究2024年4月号
2024-04-25
特集: 温泉宿泊施設
Hot spring accommodation
コロナ禍が収束し、日本へのインバウンドの需要の回復が現実のものになってきています。日本での観光目的のベスト5に、温泉入浴がランクされていますが、多くの外国人旅行者は温泉大浴場に馴染みがないので、施設では入浴の仕方をポスターにする事例もあります。貸し切り風呂や、客室露天風呂などの設置や、増設に取り組む宿泊施設もあります。
温泉宿泊施設計画のポイントのひとつは、利用できる源泉の湯量と湯温を把握することです。利用できる温泉量に限界があるがゆえに、運営者、設計者は、どのように利用客に温泉をサービスするか知恵を絞っています。更に昨今源泉の湯量の減少や湯温の低下の報告事例もあり温泉を取り巻く環境は厳しいといえます。
国は2050年のカーボンニュートラル実現のために、新築建物の100%ZEB化を目指しています。宿泊施設はエネルギー消費量の大きい用途でもあり、事務所用途に比べるとZEB化は難しい面もあります。そのような中でZEB化への補助金などがインセンティブになって宿泊用途の建物のZEBリーディング・オーナーとして公開される事例が多くなってきています。ZEB化のためには、建物の断熱性能の向上、高効率な空調・照明システムの導入と共に、給排水衛生分野においては、給湯設備の省エネルギーが重要です。保温ロスの削減や、温泉熱、排湯熱などの未利用熱を活用して、宿泊需要の変動に柔軟に対応し、年間を通じて高効率な運転を目指すことが重要になります。
今号の特集は、このような温泉宿泊施設を取り巻く現状と、設計する際のポイントとなる点を、事例紹介を通じて解説いただく企画としました。
- 温泉宿泊施設の現状と設計について 嶌田 成二 (株)ユニ設備設計
- 温泉ホテル 八幡屋 帰郷邸 温泉設備の源泉の有効利用と排湯の熱利用 井口 勉 (株)総合設備コンサルタント
- 洞爺湖鶴雅リゾート 洸の謌(ひかりのうた)のZEBの実現について 寺島 崇史 北海道電力(株)
- 温泉施設のろ過設備、客室露天風呂向け 小型昇温装置のソリューション事例 藤井 裕太 (株)ショウエイ
- 温泉施設のヒートポンプによる省エネソリューション事例について 柴 芳郎・谷藤 浩二・駒庭 義人・津谷 駿介・都田 皓彦 ゼネラルヒートポンプ工業(株)
出版委員会 土井 章弘
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