
給排水設備研究2020年7月号
2020年7月25日
特集:水環境とエネルギーの未来・II
The future of water environment and the energy
前号に続き、水と上手につき合いながら、水の恵みを得続けていくための工夫としての「後世に伝えたい技術」「資源の豊かな日本」の2項目のテーマで、人間が住みやすい、きれいな地球を保つための行動として、環境に貢献できる「アイデア」や「取り組み」をご紹介させていただきます。
2年前の2018年4月に閣議決定した第五次環境基本計画では、国連「SDGs(持続可能な開発目標)」や「パリ協定」といった世界を巻き込む国際的な潮流や複雑化する環境・経済・社会の課題を踏まえ、複数の課題の統合的な解決というSDGsの考え方も活用した「地域循環共生圏」を提唱されました。「地域循環共生圏」とは、各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方です。特に廃棄物等の適正な処理を前提としつつ、循環資源そのものや地域の特性等に対しての従来からの見方や捉え方を変えることで、これまで未活用であった循環資源を最適な規模で循環させることができ、廃棄物処理施設や最終処分場の安定確保や廃棄物処理の効率化が可能となるのみならず、新たなビジネスによる雇用創出や地域活性化等にも結び付く内容でした。
そして、先日6月30日に内閣府より想定を超える気象災害が各地で頻発し、気候変動はもはや「気候危機」と言える状況の中、こうした時代の災害に対応するためには、気候変動リスクを踏まえた抜本的な防災・減災対策が必要な観点から『気候変動対策と防災・減災対策を効果的に連携して取り組む戦略(気候危機時代の「気候変動×防災」戦略)』が武田内閣府特命担当大臣(防災)・小泉環境大臣共同による共同メッセージが公表されました。
今日本は、文明史の転換期に立たされているのではないでしょうか。私たちは日々、右往左往してしまいますが、人口の増加、生活水準の向上、産業の発展などによる様々な問題が叫ばれる中、今後の給排水設備はどのような技術でこういった問題を切り抜けていくべきかを知り、考えていかなくてはなりません。
特集の主な内容は、次の通りです。
資源の豊かな日本
- 「下水を活用した藻類ポリカルチャーと水熱液化によるバイオ原油生産」渡邉信(筑波大学藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター)
- 「汚泥資源からのバイオコークス化と社会貢献」井田民男(近畿大学バイオコークス研究所)
- 「水でごみを処理する技術」渡辺隆行(九州大学大学院工学研究院)
- 「物質循環型農業」久保幹(立命館大学生命科学部)
後世に伝えたい技術
- 「江戸時代の知恵再考」近藤茂(水と食とエネルギーにやさしい社会研究所)
『給排水設備研究』は、NPO給排水設備研究会会員に配布される雑誌です。会員になっていただければ会費(入会金1,000円、年会費6,000円(正会員、学生会員は3,000円))のみで購読できます。企業・団体の賛助会員も募集しています。詳しくは、給排水設備研究会についてをご覧ください。
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