年頭所感
2019-01-25
大塚雅之 NPO給排水設備研究会会長理事
会員の皆様、新年あけましておめでとうございます。健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
2015年9月の国連総会において、2016年から2030年の15年間に、加盟国が達成すべき持続可能な開発目標、SDGs(Sustainable Development Goals)が示され、採択されたことは記憶に新しいところです。大きな目標として17項目が掲げられており、中には「健康的な生活の確保」、「質の高い教育」、「安全な水とトイレ」、「クリーンなエネルギー」、「産業と技術革新の基盤構築」、「住み続けられるまちづくり」、「気候変動への対策」など、建築・都市の水環境分野、給排水衛生設備分野として貢献できるテーマも盛り込まれており、我々の果たすべき役割も大きいと考えます。スマートウェルネスな生活空間の実現に向けて、IoTやAI技術の活用もなされ、高齢者社会に向けての健康管理・維持増進への手段としても実用化が開始されています。また、本研究会の活動エリアでもあるアジア、そしてアフリカなどにおける安全な水供給技術や衛生的なトイレの整備、トイレなどの衛生機器の国際市場での節水・節湯技術の基準化(ISO化)への対応、ZEBやZEHの達成に向けての再生可能エネルギーや高効率給湯機器を併用した省エネ型給湯システムの開発と普及なども前記の目標達成への取り組みの一環といえます。
加えて、昨年は、集中豪雨による土砂崩れを多発、猛威を振るった台風、健康へも大きな影響を与えた猛暑、電力のブラックアウト大停電を招いた大地震など、自然災害の猛威と気候変動の影響を受けた一年でもありました。それらに対して、安全に住み続けられるまちづくりへ取り組むことも重要なテーマといえます。改めて、LCPやBCPへの対応を考えた給排水衛生設備の計画・設計、新たな技術開発の必要性を感じました。
このようなグローバル社会における動向の中、元号も平成から新たな元号へと変わる激動の新年。本研究会としましては、業界・社会が抱える諸問題の解決に、水環境、給排水衛生設備を通して、さらには将来の課題に取り組む次世代を担う人材を発掘し、育成に努めるとともに、シニア世代の英知も生かしながら本分野の発展に努めてまいります。日々の常設の委員会活動はもちろん、グローバルな活動であるCIB W062国際シンポジウム(開催;オーストラリア・メルボルン)への建築設備調査団やアジア建築設備推進の調査団の派遣を継続すると共に、2020年オリンピック・パラリンピックイヤーに開催を予定していますアジア給排水設備シンポジウムの実施に向けて、準備を開始します。
また、情報発信と技術交流の推進活動におきましても、本会をプラットフォームとし、研究会誌を通して技術情報をお届けするとともに、ホームページも見やすく、活用しやすいように刷新しました。現在、過去の会誌[2003年4月号~発行から1年経過後の会誌(当初は2018年1月号)まで]のデジタル化を進めており、会員専用サイトとしてご覧いただけるように整備を行っています。さらに、会員の皆様の技術交流と懇親の場としての新年会、賛助会員会(今年開催)、アジア建築設備推進委員会報告会などの企画も継続して開催し、建築・環境設備を広く分野横断的に捉え、技術交流の場を広げたいと思います。それらの活動を充実させるためにも、昨年から理事会メンバーを中心に総力を挙げて、会員増と組織の強化にも努めており、ここ2年間で新たに賛助会員が十数社、入会しました。今年は、2020年東京五輪への助走区間となる1年でもあります。新年も、旧年と同様の活動をより精力的に推進し、来年に向けてピッチを上げて邁進して行きたいと考える所存であります。会員各位には一層のご支援・ご協力を賜りたくよろしくお願いいたします。
皆様におかれましても、本年、亥年が素晴らしい年となりますことを祈念しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。