会長理事退任のご挨拶
2025-08-04
―困難な時代だからこそ 水のプレゼンスを示す時代―
大塚雅之 関東学院大学
2017年度(第12期)から2024年度(第19期)までの8年間、4期に渡り会長理事を務めさせて頂きました。このたび退任するにあたり、この間、会員の皆様からの多大なご支援を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
思えば、1984年、給排水設備研究会発足当時、学生だった私は、今はもうない二子玉川の富士観会館で開催された総会・懇親会の席上、紀谷文樹会長(当時武蔵工業大学教授,現東京工業大学名誉教授)の挨拶を片隅で拝聴していました。そんな席で、故鎌田元康東京大学名誉教授から、「君、将来はあの席に立つんだよ」と諭されて、40年余り、7代目の会長理事として、微力ながらそのお約束は果たすことができたのも皆様のお陰と思い、重ねて感謝いたします。
さて、振り返りますと幾つかの課題や変革を感じた8年間だったと思います。先ず直面した課題は、本会の財政の安定化を図ることでした。財政的には毎年、赤字状態が続き、私が編集理事を担当していた当時、年4回発刊の研究会誌の経費の削減を図りましたが、挽回できず、隔年で開催する各種イベントでの臨時収入での補填を続けていました。会長理事就任後、賛助会員会の実施等を通し、賛助会員を増やし恒常的に収支均衡を維持することが、概ね可能になったように思います。それは、御協力頂きました賛助会員の皆様、それに加藤正宜財務委員長をはじめ、多くの理事・関係者の方々のご尽力により達成できたものと思います。その状況まで漕ぎつけた今、次の体制へのバトンタッチは好機と考えました。
また、2020年には新型コロナ感染症の拡大。コロナ禍の影響を受け、活動が一時停滞しました。期しくも同時期に空気調和・衛生工学会会長の職に在り、両会の運営に苦慮した時期でもあり、空気・水環境の一体となった衛生管理の重要性も感じました。これを契機にオンラインが導入され情報共有のシステムや会議方法も一変しました。さらに2024年に起きた能登半島地震、2017年以降異常気象がもたらす九州・西日本を中心とした豪雨被害など自然災害も多発しました。災害時の水インフラの途絶におけるBCP・LCPへの対応など、給排水設備の大切さを痛切に感じました。最近は、老朽化した上下水道管が原因とみられる事故など、建物と共に都市域も含めた水環境と設備の維持管理、貴重な水資源の有効利用と水循環を考えたネット・ゼロ・ウォーター社会の実現が求められています。われわれの果たすべき役割は、益々多岐に渡り、重要になってきていることを強く感じています。
最後は、冒頭で述べました1984年の創設以来、40周年の月日を経て創設40周年記念の企画を実現でき、皆様と祝えたことです。40周年のテーマは、水の未来―「過去から現在、そして未来へ続く水の営み」-と題し、技術も人も未来を考えた今後の10年の躍進に期待する内容としました。テーマの種明かしをしますと、私の在職する大学の建築・環境学部の学部コンセプトの一つに、サステイナブルな建築のあり方として、「過去から現在、そして未来へ続く時間」を生き抜く建築をキーワードに掲げており、それを捩りアレンジし提案しました。刊行した記念誌もコンパクトにまとめられており、記念式典・懇親会も盛況でした。その実行と運営は若手が中心となり、まさに本会の未来を担う会員のメンバーに頑張って頂きました。水の未来への一歩となったと思います。
今後は、小瀬博之新会長理事のもと、益々、本研究会が躍進すること、そして、会員皆様のご健勝とご活躍を祈念して、退任のご挨拶といたします。ありがとうございました。