情報提供 「生活に関わる水」

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NPO給排水設備研究会

 本研究会とも関係が深い、社団法人 空気調和・衛生工学会(会長:坂本雄三)が、この度の災害に対してホームページに発信された、断水時の生活水の確保と衛生に関する注意「生活水の確保と衛生上の注意」を以下に紹介します。
 これ以外にも、NPO日本トイレ研究所がトイレに関する注意事項を掲載しています。http://www.toilet.or.jp/
 なお、福島の原発事故に伴う放射能による水質汚染が懸念されます。その危険性がある地域での水利用に対しては、十分ご注意の上、国や自治体の指示を参考にして下さい。

以下は、(社)空気調和・衛生工学会がホームページで掲載(全文紹介)

生活水の確保と衛生上の注意

 震災などの災害時に最低限の生活を営むには、飲料水、手洗い・洗面水、調理水、食器洗浄水、風呂・シャワーの洗体水、洗濯水、便器洗浄水などの生活水が欠かせません。これらの生活水を重要度と清浄度からランキングすると、次のようになります。

  1. 飲料水
  2. 手洗い・洗面水、調理水、食器洗浄水
  3. 洗体水、洗濯水
  4. 便器洗浄水

 一方、災害時の水の供給状況は次のようなステージに大別されます。

A:水道が断水した場合
B:水道は断水していないが、住宅の給水設備がダウンした場合
C:水道の断水や給水設備のダウンが予想される場合

 これらのステージ別に、生活水の確保と衛生上の注意を述べます。

A:水道が断水した場合

 給水車も来なく、まったく水供給のすべがない場合は、河川や井戸水を利用するしかありません。
 水道水以外の水を飲料水に用いる場合は、煮沸消毒するのが基本となります。
 [井戸水]は、煮沸すれば、衛生的に問題はありません。
 [河川水]は、活性炭などで濾過して煮沸すれば、飲むことができます。活性炭がなければ、炭が代用できます。なお、市販されているポータブルな簡易浄水器があれば、これを用いて飲むことができます。
 [雨水]ですが、もし雨が降ってきたら、縦樋の下部末端にバケツなどの容器を設置して雨を貯留して下さい。ただし、初期の雨水は屋根などの汚れを含んでいますので、降り始めてから10分ぐらい過ぎてからの雨水を利用して下さい。雨水は、一般に井戸水より清浄ですが、やはり煮沸することを勧めます。
 手洗い・洗面水、調理水や食器洗浄水は、布を重ねて濾紙の代わりとし、ろ過して汚れを除いてから利用して下さい。洗眼など、高い清浄性が必要な場合は、煮沸した水を用いて下さい。
 洗体水は、貯留容器の上澄みを用いてください。タオルなどを浸して、できるだけ少量の水で済ませるようにします。洗濯水は、洗う物により清浄性が異なります。肌着などは、洗体水と同質の水を使うことになります。
 便器洗浄水は、いずれの水でも、そのまま利用できます。

B:水道は断水していないが、住宅の給水設備がダウンした場合

 水道には、各所に非常時給水設備が設けられていますので、これを利用することができます。最寄りの水道局に問い合わせて下さい。

C:水道の断水や給水設備のダウンが予想される場合

 生命維持に必要な水量は、1人1日当たり1.3~1.5Lといわれています。飲料水と調理水の合計がこの水量に相当します。飲料水に限れば、約1Lが必要となります。これに調理、手洗い洗面などを勘案し、1人1日当たり2Lを最小目安として、一週間分ぐらいを備蓄しておくのが望ましいでしょう。水の備蓄は、ペットボトルやポリ容器のほか、ビニール袋を代用することもできます。なお、ポリ容器は、給水車が来た場合、貯水容器として非常にに有用ですので、備えておくことを勧めます。
 住宅には浴槽があります。満水にすると、200Lを超える水量が貯留できます。この浴槽貯水は、十分に貯水槽の代わりとなります。しかし、飲料水に利用する場合は、必ず煮沸して下さい。
 なお、ポータブルな簡易浄水器が市販されているので、これを用意しておくのもよいで
しょう。

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